◎絶対王政の時代_ |
歌劇「カール五世」クルシェネク (1930年頃)
◎スペイン_
十二音技法によるオペラ。 とっつきにくい物語の筋と音楽だって。歌劇「エルナーニ」ヴェルディ (伊・1843〜44) 全4幕
ユーゴーが原作。歌劇「ドン・カルロ」ヴェルディ (伊・1865〜66) 全4幕 約3時間02分
原作はシラー。スペインとフランスの友好をはかるために、スペインのフェリペ2世(フィリッポ)の息子ドン・カルロスに嫁ぐためやってきたフランス王女エリザベッタを、フェリペ2世が自分の妃にしてしまう。おいおい(笑)。
この作品でもフェリペ王は非常にねたみ深い性格。 また、先王カルロス1世の墓のシーンから始まるのに、「じつは生きていた」カルロス1世も登場する。
初演のとき、ナポレオン3世の皇后は、怒って途中で帰ってしまったという (宗教的な理由で)。音楽は力強くてすばらしい。
ヘンリ8世とムジカ・スペクラティーヴァ(思弁的な音楽) ( 英・16世紀前半)
◎英国 ヘンリ8世とエリザベス女王_
このCDの解説書ではこの曲集がどのように編纂されたのかよく分からないが、レコードの中では、ヘンリー8世が作曲した曲と、当時のイギリス宮廷及びヨーロッパ大陸で知られた作曲家の曲が、交互に演奏される。歌劇「アンナ・ボレーナ」ドニゼッティ (伊・1830) 全2幕 約2時間20分
王が作曲した曲は豪快な肖像画の彼からは想像もできない微笑ましい曲が並ぶ。 その他の作曲家が作曲した方は、とても技巧的で、一聴して王のではないと分かる。 いや、待て。王のは微笑ましいと言ってしまったが・・・・・・ 悪くはない、悪くないぞ。
アンナ・ボレーナとは、英国の名君ヘンリ8世の2度目の妃となった「アン・ブーリン」のこと。エレミアの哀歌 トーマス・タリス (16世紀)
うぅ・・・ 題材はこころ惹かれるのに、うひーー、この手の音楽は太陽領は勘弁して欲しい。
ただし、当時のオペラでは慣例だったという「狂乱の場」(19世紀イタリアのオペラでは、必ずヒロインがどこかで一回精神に錯乱をきたす場面が必要だったという・・・・なんでやねん、それ。)は、妙にピッタリだ。 ブーリンはロンドン塔の中で狂乱する。
どうせなら死んだあと幽霊になって、ジェーン・シーモアを取り殺すところまで描いてくれたら面白かったのに(不謹慎)。
エリザベス女王の時代には、これらの曲が流行していたのです(^-^;交響曲第3番イ短調「スコットランド」 メンデルスゾーン (独・1829〜32/41,42年) 約42分
「今日の夕方遅く、私たちはメアリ女王が住み、また、愛した宮殿に行きました。扉の近くにある螺旋階段をのぼると、小さな部屋があります。彼ら(殺害者たち)は螺旋階段をのぼり、その小さな部屋にあるリッツィオを見つけて彼を引きずり出し、そこから部屋を三つ隔てた暗い角で、彼を殺害したのです。その隣りにある礼拝堂は、今では屋根がなく、中には草や木蔦が生い茂っています。そこの壊れた祭壇の前で、メアリはスコットランドの女王の位についたのです。そこでは、すべてが壊れ、すべてが朽ち果てています。そして、明るい空の光が、中に差し込んでいます。私は今日、その場所で、交響曲《スコットランド》の始まりの旋律を思いついたのです」(1829年、エディンバラから両親に宛てての手紙)歌劇「マリア・ストゥアルダ」 ドニゼッティ (伊・19世紀)
すばらしい!
ひとつの歴史上の出来事とその遺物が、ひとりの感受性の強い芸術家に直接に強烈な印象を与え、この天才がエディンバラのホールリード城を訪れたとき、スコットランド女王メアリが夫を暗殺した(?)出来事の情景がありありと頭に浮かびあがり、それとともに頭の中に冒頭の音楽があふれ出た、という曲。
「天衣無縫の女王」と呼ばれたスコットランドの女王メアリ・ステュアート。
森氏や桐生操の本を読む限り、すべての悪の根元はメアリの感情のおもむくままの行動が原因だから、私的にはこの女王に対して全然好意が持てないんですが、しかしシラーやアントニア・フレイザーを読むと、どうしようもない運命の大きな波に巻き込まれる「悲劇の主人公」の様相が大きくなる。
メアリが英国で逮捕されたときも、審議の場で「秘密の小箱」に入っていたという22通の(恋のソネットを含む)謎に満ちた書簡が問題とされたように、(その多くに敵と味方の双方から改竄の手が入っていたらしい)、普段からメアリ女王はいろいろな人に対し手紙を頻繁に送り、また折を見て自分の気持ちを詩に表す癖を持っていた。(逃亡の時代にも)。 メアリがイングランド女王エリザベスに何度も送ったという面会を嘆願する手紙も、現存していればさぞかし世に感動を呼んだことだろう。
女王の処刑後、(それまで混乱を撒き続けた事実はさておいて)悲劇の女王としてのメアリの姿が人々の心に残ることになった。同情あるいは悪意によって女王の手紙を収録した書物が相次いで発表された。時を経つほどに女王の悲劇は人々の関心のもとになり、英国だけでなく他の国でも女王に関する記事が紹介されるようになった。シューマンが最晩年に参照したのは、フィンケ男爵のギズベルトがドイツ語に翻訳した版であった。
メアリが第一の夫フランソワ2世と死別してスコットランドに帰国したのは1560年(18歳のとき)、第二の夫とダーンリー卿との間に息子ジェームズ6世(1世)が生誕したのは1567年(25歳のとき)、第三の結婚により国内に反乱が起こって英国のエリザベス女王のもとに亡命したのはその同じ年で、英国女王に対する反乱への荷担のかどで処刑されたのが1587年(44歳のとき)だったから、(最後の覚悟と諦観にみちた詩が死の直前の気持ちを示した物であるとすると) この短い5曲で、27年もの長さを扱っていることなる。
(歌劇以外で)一国の主君がこのように直接思いを歌い込む作品も意外に無いから、そういう意味でも注目すべき作品であるだろう。
シューマンの音楽は派手ではない。しかし、何度も繰り返して聞きたくなる静かな雰囲気がある。第3曲だけがイ短調で残りの4曲はみなホ短調。その「エリザベスに」だけが(静かで内省的な他の歌とは違って)激しく訴えかけるような曲調で、全5曲の中心核となる。第1曲と第2曲はソプラノの動きはそれほど無く、ピアノの煌めきだけがシューマン風の感情の伝達。特に第2曲は待望の息子の誕生なのにどうしてこんなにあきらめた感じなのだろう。第4曲は第3曲を引き継いで、ピアノは逆に抑えながらソプラノが静かながらも強く歌いかける内容になる。そして5曲目ではピアノとソプラノはどちらも堅くなる。
とても良くできた音楽だと思う。
1. Abschied von Frankreich
Ich zieh dahin, dahin!
Ade, mein frohlich Frankenland,
Wo ich die liebste Heimat fand,
Du meiner Kindheit Pflegerin!
Ade, du Land, du schone Zeit.
Mich trennt das Boot vom Gluck so weit!
Doch tragt's die Halfte nur von mir;
Ein Teil fur immer bleibet dein,
Mein frohlich Land, der sage dir,
Des Andern eingedenk zu sein!
Ade!2. Nach der Geburt ihres Sohnes
Herr Jesu Christ, den sie gekront mit Dornen,
Beschutze die Geburt des hier Gebor'nen.
Und sei's dein Will', lass sein Geschlecht zugleich Lang noch herrschen in diesem Konigreich.
Und alles, was geschieht in seinem Namen,
Sei dir zu Ruhm und Preis und Ehre,
Amen.3. An die Konigin Elisabeth
Nur ein Gedanke, der mich freut und qualt,
Halt ewig mir den Sinn gefangen,
So dass der Furcht und Hoffnung Stimmen klangen,
Als ich die Stunden ruhelos gezahlt.Und wenn mein Herz dies Blatt zum Boten wahlt,
Und kundet, euch zu sehen, mein Verlangen,
Dann, teurer Schwester, fasst mich neues Bangen, Weil ihm die Macht, es zu beweisen, fehlt.Ich seh', den Kahn im Hafen fast geborgen,
Vom Sturm und Kampf der Wogen festgehalten,
Des Himmels heit'res Antlitz nachtumgraut.So bin auch ich bewegt von Furcht und Sorgen,
Vor euch nicht, Schwester.
Doch des Schicksals Walten
Zerreisst das Segel oft, dem wir vertraut.4. Abschied von der Welt
Was nutzt die mir noch zugemess'ne Zeit?
Mein Herz erstarb fur irdisches Begehren,
Nur Leiden soll mein Schatten nicht entbehren,
Mir blieb allein die Todesfreudigkeit.Ihr Feinde, lasst von eurem Neid:
Mein Herz ist abgewandt der Hoheit Ehren,
Des Schmerzes Ubermass wird mich verzehren;
Bald geht mit mir zu Grabe Hass und Streit.Ihr Freunde, die ihr mein gedenkt in Liebe,
Erwagt und glaubt, dass ohne Kraft und Gluck
Kein gutes Werk mir zu vollenden bliebe.So wunscht mir bess're Tage nicht zuruck,
Und weil ich schwer gestrafet werd' hienieden,
Erfleht mir meinen Teil am ew'gen Frieden!5. Gebet
O Gott, mein Gebieter,
ich hoffe auf dich!
O Jesu, Geliebter,
nun rette du mich!
Im harten Gefangnis,
in schlimmer Bedrangnis
Ersehne ich dich;
In Klagen, dir klagend,
im Staube verzagend,
Erhor', ich beschwore,
und rette du mich!
1.フランスへの別れのことば
私は遠くへ旅立ちます、
さようなら、幸せなフランスよ。
私が最も愛するふるさとを見つけた地、
私の幼い日々をはぐくんでくれた地よ!
さようなら、ふるさと、幸せな日々よ
小舟がわたしを幸せから引き離す!
しかし、小舟が運ぶのはわたしの半分だけ、
私の半分は永遠にあなたと一緒です、
幸せの国よ、残った私の半分は言うでしょう
もう1人の私をも、忘れないで。
さようなら!2.息子の誕生に
いばらの冠をかぶる主イエスよ、
この新しい命の誕生をお守り下さい。
そして、みこころにかなうなら、この王国の
この王権による支配が長く続きますことを
そして、この子の名でなされることがすべて、
主の栄光と賛美と誉れになりますように
アーメン
3.エリザベス女王に
私を喜ばせ、一方で苦しめもするただ一つの考えが、
いつまでも心をとらえて放さない。
落ち着かず時の経つことだけを考えていたとき、
不安と希望の声が響きつづけていました。そして、私の心を紙に書いてそれを使者にしようと決めました
あなたにただひたすらお会いしたいと、
親愛なる姉上、でも、新しい不安が私を襲います
手紙などでは私の気持ちを伝えられないのではないでしょうか私には見えます。押し寄せる嵐や波
まるで隠れるように港にしがみつく小舟
澄み切っていた空は夜の灰闇に覆われます。でも姉上、このように恐れや不安におののいているとはいっても
それはあなたに対してではありません。
しかし、運命は私たちの頼る帆を
ひきちぎってしまうこともあるのです。
4.この世へのわかれ
この以上に私に与えられた時間に何の意味があるのだろう、
この世での望みはありません。
悲しみだけは私のぬけがらから消えることはないでしょう
死への喜びだけが私に残されている。私の敵の人たち、私を憎まないでください
君主としての誉れなどもうないのですから。
これ以上の苦しみは私を壊す。
憎しみや争いは私と一緒に埋めてしまえばよい。私を愛してくれる友よ、
もう力に幸運も失ったので、お役に立つことができません。
だから以前にしていただいたことのお礼を果たすことができません。そして、私に幸せだった日々が戻ることを期待しないでください
この世でこれほど残酷な罰を受けたのだから、
せめていつまでも続く安らぎをもらえるよう、お願いして下さい。5.祈り
おお神よ、わが主よ
わたしの望みはあなたのもとにあります
おお愛するイエスさま、
今こそ私をお救い下さい。
この耐え難い牢屋の中で、
このつらい苦しみの中で、
主をお待ちしております。
嘆きの中で主を求め、
望みも無く埃にまみれています
この切ない願いをお聞き届けください、
私をお救い下さい。
おお! ヴォーン=ウィリアムズのこんな題名の曲なら聴いてみたい! どこに売ってんの?
歌劇「清教徒」ベルリーニ (伊・1835) 全3幕 約1時間21分
◎英国 ふたつの市民革命と王政復古_
この題名から「宗教関係か?」あるいは「革命の理想を高らかに歌い上げるカタい作品か?」と思うが、そうではない。民謡編曲「オリヴァー・クロムウェル」(サフォークの童謡) ブリテン (英・1943) 約45秒
王党派の若者と、議会派の令嬢が恋に落ちる、というたぐいの良くある話だ。
しかぁしっ、なんと、なかばに我があこがれの「あの人」(←チャールズ1世妃)が登場するのだ!!!
曲も、ワーグナー嫌い(それは太陽領)やプッチーニ嫌い(それも太陽領)やヴェルディ嫌いでも楽しめる感じのもの(だと思う)。
「オリヴァー・クロムウェル、くたばって土の中、ヒーホー、その頭の上にリンゴの木が生えてきた〜〜♪」チャールズ2世のための歓迎歌「ようこそ、全能の王より権威を授かりし方」 パーセル (英・1680) 約13分
ちょっと待て、クロムウェルの頭は死後切り離されて、どこかで見せ物になったんだろ?
◎パーセル・シリーズ_
歌曲「麗わしのアルビナ」 パーセル (英・1695) 2分強
このナゾの歌詞は、メアリ2世とウィリアム3世の上陸(名誉革命)を暗示していると言われる。
オランダ総督オレンジ公家の戦争の達人ナッソウ伯ウィレム3世(=チャールズ1世の長女メアリの一人息子)は、この歌の作られる7年前の1688年の11月に、妻のメアリ(=ジェイムズ2世の長女)とともにイングランド南西部のトーベイ湾に上陸、数日後に観念したジェイムズ2世は玉爾をテムズ河に投げ込んでアイルランドに逃亡した(名誉革命)。
で、この「アルビナ」ってアルビオン(ブリテン島の古名)の女性形でしょうか?
「アルビノ」(白子)の女性形だったりして(ォィォィ)
「前よりも十倍美しく」という表現だと、メアリは「前は今の十分の一ぐらいしか美しくなかった」とも取れますが、メアリって美しい女王でしたっけ? 肖像画を見る限りは高貴な輝きを持った美女のように見えますが、肖像画じゃ何も分からないからなぁ。むしろ「ふとっちょ」と呼ばれたアン女王(=メアリの妹)の方が肖像画では魅力的に見えるし。
でも、「ベルギーの獅子」って、、 ウィレム3世はベルギーの王じゃないですよね。(ベルギーは19世紀のウィーン会議まで、スペイン次いでフランスの領土だった) 同じネーデルラントだからウィレム3世の隠喩となっているのか隠喩ってそんなもんか?
「一人の下賤な盲目の奴隷」ってところは、「一人」どころじゃなくて、廃王ジェイムズ2世、その妻メアリ・オブ・モデナ、大僭称者ジェイムズ・フランシス、小僭称者チャールズ・エドワード(ポニー・プリンス・チャーリー)、その弟ヘンリー・ベネディクトと、何人もいますね。
パーセルの音楽は、中間部分に、モンティパイソンに出てくる吟遊詩人の歌を思わせる素敵な部分があってニヤリとさせます(^^ この歌大好きです。短いですけど上昇志向の気持ちいい曲です。「蝶のように舞い、蜂のように刺す」という言葉がぴったりのうたです。
★歌詞
Lovely Albina's come ashore
to enter her just claim;
ten times more charming than before;
to her immortal fame.Lovely Albina,...(etc.)
The Belgic Lion, as he's brave,
this Beauty will relieve;
for nothing but a mean, blind slave
can live and let her grieve.
麗しのアルビナが浜に上がってきた
その正当な資格を示すために。
前よりも十倍も美しくなって
その不滅の名声を誇っている。(繰り返し)
あの勇敢なベルギーの獅子が
この美女を慰める。
だが一人の下賤で盲目な奴隷が
生きながらえて彼女を悩ませるのだ。
この頌歌の題名のグローチェスター公爵とは、1702年に英国女王となるアン王女が1689年に産んだ、息子ウィリアム・ヘンリーのこと。フランス組曲(劇「王妃マルゴ」のための劇音楽) プーランク(仏・20世紀) 全7曲 約13分
この王子は、夫のデンマーク王子ゲオルクとの間にもうけた18人の子供の中で、唯一生き延びた王子だったが、やはり病弱だった。
そのため、王家おかかえだったパーセルが、王子を励ますために作曲した曲だが、その歌詞が「おまえの父ちゃんは勇敢だったから、おまえもがんばれ」という感じで、なにかおかしい。いや、このとき王子は6歳だったから、だからそんな感じで鼓舞したのかな?
でも王子はそれからまもなく死に、そして、その4ヶ月後に、パーセル自身も36歳であとを追う。
★歌詞
The father brave as e'er was Dane;
whose thundring sward has thousands slain
and made him o'er harf Europe reign.お父上は、いにしえのデーン人のように、勇敢です。
その雷のような剣は幾千もの敵を打ち倒し、
ヨーロッパの半分を統治するまでにしました。
◎ヴェルサイユの栄光
ルイ14世の晩年を慰めた曲、と本に書いてあります。 そのわりにはもの憂げだ。諸国の人々 フランスの人、スペインの人、神聖ローマ帝国の人、ピエモンテの人 クープラン
太陽王ルイ14世が「太陽」に扮し、作曲者が「羊飼い」に扮して、一緒に踊ったそうです・・・・・歌劇「アティス」 リュリ (仏・)
太陽王のお気に入りのオペラだったので、「国王のオペラ」と呼ばれたそうです。
音楽の捧げもの 大バッハ (独・1747) 約46分
◎大ドイツその他のくにぐに
フリードリヒ大王に捧げられたのでこの名がある。 ただのプレゼントって意味なのに、この題名には神々しさまで感じてしまうから、さすが大バッハ。フルート協奏曲集 フリードリヒ大王
この曲についてはいくつかの伝説があるが、その一つは大王のところへバッハが訪問したときに大王から短い旋律を与えられ、これをもとに即興で曲を作ってみよと言われたが、そのときはうまく曲を作れなかったので、後日作曲し直して王に送りつけたという。 つまり、宿題の再提出というわけだ。
なんかさえないエビソードだが、曲はすばらしい。 とくに大王がバッハに呈示したテーマの部分が。(おいおい)
イギリスのハノーヴァー王朝の始祖、ジョージ1世はさまざまな本で愚王の見本みたいなエピソードばかり残しているが、 少なくとも私にはこの曲のエピソードがあるので、好きな国王である(^O^) ただしこのエピソード、事実ではないそうだが。オラトリオ「救世主(メサイア)」 ヘンデル
ドイツ人のヘンデルは、ハノーヴァー選帝侯だったゲオルク・ルートヴィヒに仕えていたが、ある時イギリス旅行に行ったとき、雇い主のもとにいたくなかったのか、帰還命令を無視して、ロンドンに住み着いてしまった。 ところがそのゲオルクが新しいイギリス国王として即位してしまったからさあ大変。 この曲を作曲して不意打ち演奏してご機嫌をうかがったのだが、新王ジョージはにっこり笑ってヘンデルを許したのでした。 そこからイギリスでのヘンデルの大活躍が始まるのである。
18世紀初めのハンガリーの独立運動の英雄、ラーコーツィ・フィレンツ侯爵(英雄リストを見てね)が好んだといわれる行進曲を題材としているので、この題名がある。 この行進曲、メロディがひねくれて聞こえるんだけど、非常にクセになるのだ。ラコッツィ行進曲 ベルリオーズ (仏・1846)
で、この狂詩曲はもとの行進曲のひねくれ具合以上に技巧的で、ひねくれている。
劇音楽『ファウストの劫罰』のなかの1曲。交響曲「マリア=テレジア」 ハイドン (墺・1769) 約22分
曲の説明は同上だが、ひとつだけ困ったことは、作曲者はこの1曲を入れたいためだけに、話の舞台を無理矢理ハンガリーに変えてしまったことだ。 つまりこの曲の必然性はあまりない。 まあいいよね、ファウストの舞台がハンガリーでも。ゲーテも怒りゃしないさ。 ベルリオーズはフランス人だし、第2部でちゃんとエルベ河畔に移動するし。(ますます必然が・・・)
マリア・テレジアがハンガリーのエステルハージ家を訪ねたときに御前演奏されたと伝えられる曲。ただし別の曲だという説もある。(ハイドンの曲はこんなのばっかりだ) ハイドンのすべての曲のなかで、もっとも輝いている曲じゃないだろうか(文字通り。まぶしいくらい)。テレジア・ミサ ハイドン (墺・1795) 約38分
このとき女帝はハイドンに、「良い音楽が聴きたくなったら、ここに来ますよ」と語ったという。
この題名からマリア・テレジアに関係があるのかと思ったら、そうでもないらしい。フランツ2世妃マリー・テレーズのための曲だという説も。歌劇「後宮からの誘拐」 モーツァルト (墺・1782) 全3幕 約2時間11分
ネルソン・ミサほどではないが、歌う歌う。 合唱もオーケストラも。
わたくしが世界一愛するオペラ。
オーストリア皇帝ヨーゼフ2世が、(イタリア語ではなく)「ドイツ語で」芸術作品を作らせることを構想し、「ドイツ人」モーツァルトに命じて作曲させた曲。 映画の「アマデウス」で有名なエピソードだね。 なのに、出来上がった曲の舞台がトルコってのはどういうことだ? どうせならトルコ語で作曲すれば良かったのに。
当時のウィーンでトルコブームが起こっていたということがよく分かる曲。
◎米 |
組曲「インディアン」 マグダウェル (米)
準歌劇「インドの女王」 パーセル (英・1695) 全5幕,+追加幕 (未完、作曲者の弟が完成)
英国人が書いたインドを題材にした作品ということで、大英帝国的な植民地として支配下に置いた地域を置き飾りとして楽しむ
異国趣味的な作品かと思っていたら、違った!! 作曲者のパーセルは、市民革命&王政復古期の人物であった。
この作品でインドというのは私たちの知っているインド(東インド)ではなくて、新大陸にある西インドのこと。 物語の主人公はイ
ンカ帝国の将軍モンテスマ(・・・・ん?)。 なぜかインカとメキシコ(アステカ)は戦争をしていて、メキシコは女帝に治められてい
て、やっぱりインカの王女とアステカの王女は恋に落ちて・・・・・ そして最後にはびっくりするようなどんでん返し。
なによりも、やっぱりパーセルの音楽はとてつもなく綺麗だけれど、全然異国的なところがないのだ。 このころのイギリス人は、
インドに何を求めていたのだろう?
宮廷仮面劇「インドの王冠」 エルガー (英・1912)
ジョージ5世の戴冠式に際して上演。『ムガール土侯たちの行進曲』『万歳!太古のインド』などの曲がある。
リンカーンの肖像 コープランド (米)