(学徒出陣11)
加害者と被害者
ですから本当はわれわれは被害者であると同時に加害者であるというお話が歴史でもって言われておりますけれども、確かに戦争やってわれわれも被害者であったけれども、同時にアジアの人たちをああいう目にあわせたから加害者だなぁということは南京の虐殺事件とかいろんなことが50年も経って明るみにでてきて、いろんなことを考えてみると、当時は夢にもそういうことは思わなかったんですけれども、いろんなことが歴史的に見て分かってきたわけであります。
海軍の生活
だいたい大雑把ですけれども以上があれなんですが、当時海軍の生活についてちょっと申し上げますと、海軍の生活でいいことも悪いこともありましたけれども、今だに続いているのは「5分前精神」ということですね。
海軍というやつはもともと船だったもんですから、何時に出航するよと言ったときにその船に乗るのが間に合わないと置いてかれてしまうわけですね。ですから必ず時間を厳守しろと。時間を厳守するには、5分前に必ず準備しなさいと。5分前には行ってなさいよということで、例えば毎朝起きるときに、スピーカーで、朝5時なら5時に起床のときに、4時55分に「将員起こし5分前、将員起こし5分前」ということで必ず5分前が来るんですね。8時になると軍艦旗をあげるんですが、「軍艦旗上げ方5分前、軍艦旗上げ方5分前」とこういうふうにして、「5分前精神」というのが、私、社会に出てからも何時から、「静岡時間」というのがありましてね。静岡の人は集まるのに30分も、1時間も遅れる人があるわけですが、「5分前精神」でやりますと、例えば2時なら2時に集合というときには1時55分には必ず行っているというふうな、あれは今の社会でも使えるなぁと思いました。
それから当時われわれがつっていた短剣ですね、この短剣をつっていました。というのも海軍というのは船が狭いですから、こんな長い刀はやれないわけです。ですからこういう刀を、短剣をつっていたわけですね。
ところがいよいよ戦争が激しくなってきたら、陸軍と同じように軍刀をつれというふうなことになって、われわれも、これが海軍の正式軍刀なんですが、これをつりさげさせられたわけなんですね。陸軍と違ってこんなもの持ち慣れないもんですから、歩いていって足の間に入ってしまってひっくり返っちゃうんですね。ですから私なんかいつもこうやって手で持ってこういうふうにして歩いておりました。これは結構重いんですけれども、刃がついていますから切れますけれどもね。
(重さを実感してもらうために前の方に集まる)
(生徒)エッ、ホントに切れるんですか?
(真田)切れます。これ持ってると銃刀法違反になりますから、ちゃんと許可証をもっています。
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