(学徒出陣13)
質疑応答
(質問)真田さんは陸軍、海軍というと海軍の方に行かれましたけれども、海軍を選択した理由は何かあるのですか?
(真田)今から考えると非常に単純なんですけどね、とにかく海軍というのはかっこいいですね。こういうふうなものくっつけているし、陸軍というのは野暮だ。というのは配属将校にみんないじめられているわけですよ。配属将校に対する反感ももっているわけなんです、学生は。わざとゲートルはいて靴を履かないで、ぞうりを履いて教練へ出てね、教官をからかうというようなやつもいるくらい反感をもっていたんですね。
戦争に負けた原因の一つに陸海軍の仲がものすごく悪い、これが根本的にあったわけですね。だから飛行機も取りっこするし、資材も取りっこする。それから作戦も共同作戦やればいいのに、陸軍は陸軍、海軍は海軍でバラバラだということもあったんですがね。
そんなんでもって、動機としては非常に単純なものだったんです。
(質問)小学校教育、中学校教育について非常に細かく説明をしていただきました。軍隊の生活についてもう少しお話しいただけたらなぁと思うんですが。前回ですね、授業の中で軍隊での生活ということで文献を基にしてですね、お話したんですけれども、その中でリンチ、いじめ、暴力が日常茶飯事にあったという話が文献の中に出ていまして、こういうのが軍隊だよという話をしたんですけれども。このあたりはどうなんですかね?
(真田)私どもね、予備学生というものは入って採用されると同時に、階級が兵隊よりも上になっちゃうんですよ。下士官の上、士官の下というところへいきなりもっていかれるもんですからね、いわゆる「私的制裁」というか、兵隊さんが兵隊さんをいじめるというふうなリンチという目にはあったことはないんです。ただわれわれを教えるのがわれわれの先輩、1年ぐらい先に入った、例えば慶応だとか早稲田とかそういうふうな先輩なんですね、学生なんですよ。ですから職業軍人に負けるなという意味でもって徹底的にしごくということはするんですが、これはあくまでも「私的制裁」ではなくて、ですから海軍でもバットをですね、あれを「精神注入棒」といって、四つん這いにさせてあのバットで尻を殴るというふうなことが、兵隊の間ではあったんですが、そういうふうなことにあったことはないですね。
(感想などの記入)