静岡の身近な昆虫たち  観察記 3


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 1999/02/13

六間川が死ぬ!

 私の家の近くに流れ、私にとって身近な自然観察のフィールドとなっていた六間川。昨冬に続き今冬も大胆な改修工事が施工されている。
 もう、空いた口が塞がらないとは正にこの事。

 
施工直前 1997.11
(東名高速下流側、上流に向かって。後方が東名高速)
  施工後 1999.1
(同所、下流に向かって。)

 
施工の境目 1997.11

 必ずしも自然度が高いわけでもなく、特に水がきれいで目を奪われるような素晴らしい川でもなかった。
 それでも、この辺りは鳥ならばカワセミ、サギ類、セキレイ類、その他多くが見られた所。昆虫ならば特別珍しいものはいないけれど、岸の草原には多くのチョウが舞い、秋にはスズムシが鳴いていた所でもある。加えてヒバカリというヘビを何度か目撃していた。水際まで降りる事が出来て、そこにはミゾソバが多く繁っていた。

 川の工事と平行してあたりは区画整理で自然環境の面からすれば、壊滅状態である。かなり多くの野生生物が追われ、また消えたことだろう。
 もう、焼津市内の部分は六間川とは言わない。六間水路と呼ばせてもらおう。

 何が「緑あふれる都市づくり」だ!今の時代にこんな金をかけてやるお仕事なのだろうか?ここまでする必要性があったのか?別の工法でもよかったのではないのか?もうがっかりである。
 藤枝市も間違って右に習えとならない事を期待する。

 
1999.1 藤枝市との境界、手前が藤枝市。
左岸も着手されている。

 人にとって、そこに住む地元民にとってどんなのが気持ちいい川なのだろう。どんな道が散歩するのに楽しいのだろう。


 1999/05/1

六間川が死ぬ! 2

 藤枝西高等学校の移設地のウラ。 ストレスがたまる光景だ。
 またひとつ身近な自然が消えた。

 藤枝市もか・・・

 
1999.4
  1996.10


 1999/06/13

瀬戸川が危ない。

 環境庁がまとめた「日本の河川環境U」ではまずまずの評価をされた瀬戸川もこの数年のうちに、大きく様変わりし、自然環境の面からすれば随分と悪化した。下流部では「あけぼの大橋」の工事、豊田橋の工事、浚渫、あちらこちらの護岸工事。まさに工事ラッシュで土手や川原は重機のために壊され、流れをせき止められ、場所によっては樹木伐採もおこなわれた。
 注目すべきは二次的な影響で流路が大きく変わってしまったことである。そのためもう何年も安定しヤナギ類が生えアシが繁っていた川原も、たいした大雨でもないのにかかわらず、いとも簡単に根こそぎ壊れ消え去った。
 瀬戸川の下流部ではトノサマバッタ他昆虫類が豊富にみられた川原のほとんどが失われた。これは天災ではない。人災である。
 まだ上流部では自然環境が豊富な場所があるものの、中流部にみられる瀬枯れもあり、回復には相当な時間がかかりそうである。

春なのに真っ茶茶。1999/5

 一つ一つの影響は大きくないかもしれないが、短期間のうちに同時期にこれだけ多くの改変をおこなえば、野生生物の逃げる余裕など無い、場所が無い。
 河川自体の環境のほか、地域の自然の核となっている瀬戸川のこの悪化ぶりはとてつもなく大きな犠牲を生むことになるのではないか。ヒトは安泰であろうが、そのうちツケが回って来るに違いない。
 ふるさとの川・・・・瀬戸川。


 1999/10/14

昆虫観察の絶好調。

 何事にも調子のいい悪いがあって、いい時はそれなりに、悪いときもそれなりに。
 昆虫観察も同じで、何か知らんが冴えている時とんんんん・・・・の時がある。体調の良し悪しはもちろんだが、時間的な余裕感でも違う。
 けれど、何か疲れていて歩くだけでもしんどい時でも、調子がいいことがある。
 昆虫はただ草木を見ているだけでは判らない。そこに存在するわずかな変化や痕跡を頼りにしなければならない。調子がいい時、何故か耳が鋭くなり、かすかな葉を食べる音や不自然な草葉がすれる音が聞こえてくる。もともと目は良くないのだけど、何故か見える。普段では絶対気付かないような小さい存在が見える。形がはっきり見えるというより、らしいものがくっついている。調子がいい時、大抵当たりである。
 一種の感か?絶好調のとき、時間の長短は関係なく、収穫は山盛りである。
 どんなことで絶好調になれるのか、何でだろう。

 こんな昆虫観察もそろそろオフになりつつある。虫の声より、鳥の声の方が強くなってきた。


 1999/10/14

アゲハチョウが選んだ所。

 現在、2匹のアゲハチョウの蛹を保護している。1匹はナミアゲハでもう1匹はクロアゲハである。
 毎年のことだが、とんでもない所で蛹になってしまう。ゴミ袋だったり、空き缶だったり・・・。今回はチリトリと裏出口の足場。
 双方とも前蛹の状態で保護し、タッパーに葉を敷きその上に転がしておいたところ、2日後には蛹になっていた。


 こんな事は、きっと世間ではものすごい数が起こっているのだろう。気付かなければそのままプチッとつぶれてしまうか、意図的につぶされるだろう。
 アゲハチョウならば、知っている人も多いだろうし、何とかしようと行動に移す人が存在するだろう。
 しかしながら、一般的でないものは、気付かれもせず、気付かれても、ただ虫であるという理由で消されてしまう。
 そんな所で蛹になるのが悪いのか、そんな所に巣を作るのが悪いのか、ただそこに居るのが悪いのか。虫だけではない。鳥もしかり、その他の動植物しかりである。気付いた場合にどう行動をとるか、その運命はいかに。


 私はなるべく気付いてあげたい。

 来春、空を羽ばたいてもらいたい。



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