静岡の身近な昆虫たち  観察記 9


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 2002/4/14

薮田湿地はどうなった? 2

 カワバタモロコの保護池の周辺もこの数年のうちに、更に様変わりした。旧河道の脇に盛土してがっしりと農道が作られた。また木杭が木製の渡橋も腐ってくずれ、保護池の周りは環境教育活動によって公園と化した。

 きっとまだ湿地本来の生物がかろうじて生き残っているはずである。だが、追い討ちをかけるようにヒトにとって気持ちのいい整備が進み、とてもつまらないところになってゆく。もうカワバタモロコしか保護の対象になっておらず、その他については眼中に無いように見える。
 せっかくほんの少しでも残っているのだし、もっと学術的な面から検討を要するだろう。まだ分からないことばかりなのだから。そもそも、あれが自然なのだろうか。あれが自然であるといってしまうことは間違っている。「利用」も少ないようだ。何かイベントの時だけどっと来るのだろう。

 私としたら、ある程度面積を確保してアシ原に戻して、イナゴとヒメギスなんかがウジャウジャいるところにするのもいいのでは。きっとついでにその他の昆虫もカエルも野鳥も増えるだろう。ヒトが大勢来られるといけないけれど、そんな中で多様な生き物に出会うことが大事である。そんな場所ではヒトはあくまでもGuestである。
 硬い土を盛土して芝を張って、これでは湿地性植物の復活どころか、セイタカアワダチソウ等しょうもない草本の侵入を助長するだけである。まさしく環境にあっていない施工事例である。

   
保護池
2001.7
流れ
2001.7

   
保護池の周囲
防草シートの上に砕石を敷き均した。
2001.7
コンクリで固めてしまった。
しまわねばならなかったのか。
2001.7

   
園路?
右側に残っているアシ原との繋がりが絶たれた。
2002.4
・・・
2002.4

 そのうち、なんとなくいい所になってしまうのがコワイ。


 2002/5/6

薬剤の風景

 春の田植え前の田んぼ、そして堤防、田畑の周、街路樹の周囲・・・。
 近年、除草剤を散布することが多くなっているようである。

 写真の田んぼ周辺も、以前は散布していなかったはず。散布してもしばらくすれば緑に戻る。しかし、慣例化している所の昆虫相はさびしい。
 薬剤散布に強い種、田んぼ周辺だとテントウムシ。薬剤が散布されても、ヨモギなどは回復が早くアブラムシがすぐ付く。だからテントウムシもやってきて、なんとなく生き物がいるなと勘違いしてしまう。
 具体的にどう影響があるのかしれないが、雑草を頼りにしている昆虫、またその昆虫を頼りにしている昆虫、はてはそれらの昆虫を頼りにしている野鳥。影響が無いわけは無い。
 人的には無害化するとはいっても、そのようなところの作物を食べたくはない。けれど、きっと食べている。

 この頃、除草剤や殺虫剤のCMがよく流れる。安易に使うわけだ。

   
焼津市 瀬戸川 2002.5 藤枝市内 2002.5

   
藤枝市内 2002.5 藤枝市内 2002.5


 2002/5/19

瀬戸川における小さな破壊

 毎年、焼津市の水防訓練が瀬戸川の川原で行なわれるが、今年は例年の鴻益橋のところではなく、新しく建造している豊田橋の上流側で行なわれた。市営球場の裏のところである。
 そのあたりは川原も広く、ヤナギ等が生え、ところどころガマに囲まれた沼のようなところもあり、野生生物も豊富で、特に川原の野鳥にとっては楽園のようなところだった。
 しかし、突然にその場所は消えた。

 大型重機にかかればわけもない。追いやられた魚もそのまま埋められ、昆虫など跡形もない。この時期、川原ではオオハサミムシの産卵の季節。哀れでならない。野鳥は大丈夫だったのだろうか。
 そこまできれいにする事は無いだろうというくらい土木的にきっちりとやってくれた。
 国体のために球場が整備されたこと。新しい豊田橋のお披露目。そして川原が汚かった。そのための結果だった。
 汚いところがきれいになっただけだ。どおってことはない小さなものだ。ちょっと広すぎたかな?

 焼津市の環境基本計画とはいったい何ぞ。

 この光景を見て心を痛めた人もいるはず。もう少し、方法もあるだろう。駐車場は球場の周りにもあるではないか。もっと壊す規模を小さくする施策はあったはず。あまりにも安直だった。

   
整備中。 2002.5 全体が後方のようだった。 2002.5

   
式典の様子。2002.5.19 駐車場。2002.5.19

 
式典が終わり、どう戻るのか。また来年も? 
2002.5.19


 2002/7/01

昆虫観察は平和

 私は常日頃、昆虫を観察した後にふと思う。何と平和なのだと。
 私のような一般人が素人がカメラを持ち、文献にあたり、HPを記述したりする。今でよかった。一昔前ならば、HPなど無いし、参照する文献も不足していただろう。機材もそろっていたかどうか。
 もっと昔ならば、きっと徒歩や自転車、公共交通のみならば、時間的な制約、体力的な制約から、こんなに多くの虫たちを見ることが出来なかっただろう。
 衣食住が十分に足りていてこそ。今で良かった。



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