8歳の王さまは「かしこい王さま」とよばれていましたが、大臣たちは、みんな王さまはかしこくなんかないと思っていました。王さまにはありとあらゆる大臣がいて、いつ何を食べるか、いつ寝ていつ起きるかということが、すべて決められていました。王さまにとってはうんざりするようなことばかりでした。
そんなある日、領地の森を馬で行進していると、一羽のからすが舞い降りてきて王さまのかんむりをさらって、木の上に逃げていきました。大臣はおろおろするばかり。そこで、王さまは、からすを驚かそうと、国じゅうでいちばん大きな声を出すかじやをよんでこいと命令します。かじ屋のおかげで王さまはかんむりをとりもどすことができましたが、かじやはお礼の金貨をもらったのもつかの間、からすを驚かした罪でその金貨は取り上げられてしまいました。そこで王さまは・・・。
ちいさな王さまの気持ちがとてもうまくえがきだされています。原文は1950年に書かれた作品ですが、今の子どもたちとまわりの大人にもそのまま当てはまる内容です。スロボドキンの絵が登場人物の心の動きをよくあらわしています。
スロボドキンは「百まいのきもの」(岩波書店)の挿絵も手がけています。これもお薦めです。
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